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夫の施設入居から、妻の新しい暮らしまで

CASE 01|親の住み替え

夫の施設入居をきっかけに、介護、夫婦関係、住まい、資産、そしてご夫婦それぞれのこれからを整理した事例です。

介護の相談から始まった、ご夫婦それぞれの「これから」

最初のご相談は、80代半ばのご主人の老人ホーム探しでした。

ご主人は病気の治療を続けながら、ご自宅で80代前半の奥様と暮らしていました。しかし入退院が続き、奥様自身も高齢であることから、介護の負担が次第に大きくなっていました。

地域の支援機関からご相談をいただき、まずはご主人が安心して暮らせる施設を探すことから支援が始まりました。

お話を聞くうちに見えてきた、本当の問題

ところが、奥様のお話を丁寧に伺っていくと、問題は介護だけではありませんでした。

「もう夫とは別に暮らしたい」

長年の夫婦関係、介護の負担、これからの自分の人生。

さらに、ご夫婦には現預金が十分にあるわけではない一方で、約6,000万円相当の自宅という大きな不動産資産がありました。

介護、夫婦関係、住まい、資産、これからの生活がすべてつながっていたのです。

私はこの段階で、「老人ホームを紹介すれば仕事は終わり」とは考えませんでした。

ただし、離婚そのものは私の専門業務ではありません。

だからこそ、ご主人、奥様、そしてお子様たちの意思を確認し、家族としての方向性が一致していることを確認したうえで、弁護士への相談につなぎました。

「家を売るか」ではなく、「その後どう暮らすか」

奥様にとって、自宅は単なる不動産ではありません。

長年暮らし、近所に友人がいて、思い出もある大切な場所です。

当初は売却に強い抵抗を感じておられました。

しかし、これからの暮らしや必要なお金、住み替え後の生活を一つずつ整理していくことで、次第に、

「家を現金化して、自分の新しい生活を始めたい」

という意思が明確になりました。

私は不動産売却の実務を担当するとともに、その後の新しい住まい探しもお手伝いしました。

選ばれたのは、これまでの生活圏から大きく離れない、庭のあるマンションでした。

庭いじりを楽しみ、これまでの友人を自宅に招くこともできる。

「古い生活を捨てる」のではなく、大切なものを残しながら、暮らしを再設計することを大切にしました。

私がこの事例から考えること

この案件について、私は今でも「すべての判断が本当に正しかっただろうか」と考えることがあります。

家族の人生に関わる仕事だからです。

しかし、ご主人には安心して介護を受けられる場所ができました。

奥様には、自分自身の残りの人生を生きる場所ができました。

そして、お子様たちも、ご両親の介護や経済的な心配を抱え続ける状態から一歩前へ進むことができました。

私はこれを、

「誰か一人の幸せを最大化する」のではなく、「家族全体の幸せの総和を大きくする」

という仕事だったと考えています。